FXとは?初心者が学ぶべき基礎知識

近年はFX取引を利用する人が増加しており、それに連れて海外から参入するFX業者も多くなっています。FXの知名度は高くなりましたが、現在でもFXがどんな取引をするのか知らない人が少なくありません。

FXの仕組み

FXとは、英語の「Foreign Exchange」の頭文字を取ったもので、日本では「外国為替証拠金取引」と呼ばれています。FXを簡単に言うと、異なる国同士の通貨を売買する金融商品のことです。例えば、日本円で米ドルを買ったり、米ドルで英ポンドを買ったりする取引を行います。

そして、FXは「証拠金取引」という名前の通り、始めにFX業者に口座を開設し、事前に取引に必要な資金(証拠金)を預けなければなりません。その証拠金の範囲内で取引ができます。

なお、通貨を買うといっても実際の通貨を手元に所有することは無く、「差益決済」といって売買における損益だけが証拠金から加減されます。

また、現物を所有しない信用取引であるため、「買い」では無く、売り」からも取引を始められます。仮に、現物を所有するとなると、利益を出すためには「安く買って高く売る」しか利益を出せません。つまり、為替相場が上昇傾向にある時にしか取引ができないということです。

ところが、信用取引の場合は始めに「売り」を行い、価格が安くなった時に「買戻す」ことでも利益を得られます。このように、FXの取引では、為替相場が上昇傾向にある時も、また下降傾向にある時でも、利益を狙うことができます。

FXの利益

FXでは通常、以下の2つの利益が出ます

  1. 為替差益
  2. スワップポイント

1.為替差益

FX取引の基本は、「為替差益」を狙うことです。例えば、米ドルの為替価格が1ドル:105円の時に円で米ドルを買い、その後1米ドル:106円になった時に売れば、「1円の利益」が出ます。これが、為替差益です。

なお、FX取引には最低取引単位が設けられており、一般的に1,000通貨か10,000通貨になっています。従って、1,000ドルを買っていれば1,000円の儲け、10,000ドルを買っていれば10,000円の儲けになります。

2.スワップポイント

スワップポイントとは、通貨を発行する国の金利差によって得られる利益のことです。例えば、メキシコペソを発行しているメキシコの政策金利は4.25%(2020年9月)です。一方、日本の政策金利は-0.1%のため、円でメキシコペソを購入すると、その差は4.35%になります。その金利差である4.35%分をスワップポイント(現金)として日々利用者に還元されます。利用者は何もしなくても、毎日ポイントが貰えます。

逆に、金利の高い国の通貨を売って、金利の安い国の通貨を買うと、スワップポイント分の費用が利益から減ることになります。

スワップポイントの特徴として以下の3つがあります。

1)FX業者による違い

スワップポイントの数値はFX業者によって異なっており、数値の高い業者と取引した方がお得になります。

2)日々変動

スワップポイントは毎日変動しており、その日によって上下動します。

3)スワップポイントの付与は営業終了後

スワップポイントの付与は営業終了時点で行われます。従って、当日中に取引が終わってしまうと(ポジションの決済)、スワップポイントは受取れません。

ちなみに、高金利の国は発展途上国に多いため、為替価格が大きく変動しがちです。従って、スワップポイントの利益より為替差損の方が大きくなる危険性があります。取引する場合は、為替価格の変動に注意が必要です。

FXにおけるレバレッジの存在

FXには、「レバレッジ」というシステムが導入されています。レバレッジとは「てこの原理」のことであり、預けた証拠金の何倍もの取引ができます。日本のFX取引は法律によって、レバレッジの数値が最大25倍に制限されています。

例えば、米ドルの為替価格が1ドル:105円の時に1万通貨を購入すると、105万円の資金が必要です(105円×1万通貨)。ところが、レバレッジが25倍だと、4万2千円で1万ドルを保有できることになります(105円×1万通貨÷25倍)。

仮に、為替価格が1ドル:106円になった際にレバレッジが無いと、105万円を投資して1万円の儲けにしかなりません。一方、レバレッジが25倍だと、4万2千円の資金で同じ1万円の儲けを得られます。それだけ、投資効率が高くなるということです。ただし、値動きが想定と逆になった場合は、大きな損失が発生するというリスクを抱えています。

なお、レバレッジは必ず25倍で取引しなければならないわけではありません。損失のリスクを抑えるため、低いレバレッジで取引することも可能です。例えば、レバレッジを10倍にしたい場合は証拠金を多く納めれば良いだけです。

仮に、米ドルの為替価格が1ドル:105円の時に1万通貨を購入する場合、10万5千円を証拠金として預けると、レバレッジが10倍になります(105円×1万通貨÷10倍)。このような実際のレバレッジの数値のことを「実効レバレッジ」と言います。

一般的に、FX初心者の場合は実効レバレッジを3倍程度にすると、安心して取引を続けられます。

FXにおける最大の注意点であるロスカット

FX取引において、一番注意しなければならないのが「ロスカット」です。ロスカットとは、所有しているポジション(建玉)の含み損が一定の数値を下回った際に、FX業者が利用者の意思に関わらず、強制的にポジションを決済することです。ロスカットはポジションの含み損が拡大して口座の証拠金以上の損失にならないようにすることが目的であり、利用者の資金を守る役割があります。

ロスカットは各FX業者が設定している「証拠金維持率」に基づいて実施されます。「証拠金維持率」というのは、必要な証拠金に対する口座残高の割合を示す数値のことです。証拠金維持率は以下の式で表されます

・証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100(%)

有効証拠金とは、口座に残っている取引に使用できる資金のことです。

・有効証拠金=口座残高±保有ポジションの含み損益

必要証拠金とは、ポジションを保有するのに必要な資金のことです。

・必要証拠金=通貨の為替価格×通貨数÷25倍

計算しやすいように、10万円を口座に入金し、米ドルが1ドル:100円の時に2万通貨を購入したと仮定します。保有ポジションの含み損益はまだ無いとします。この場合、それぞれの数値は以下になります。

  • 必要証拠金:100円×2万通貨÷25倍=8万円
  • 有効証拠金:10万円
  • 証拠金維持率:10万円÷8万円×100=125%

1.ロスカット基準

ロスカットの基準とされる証拠金維持率は、FX業者によって異なります。ただ一般的には、証拠金維持率が50%若しくは100%がロスカット基準とされています。なお、同じFX業者でも取引コースによって異なる基準の場合があるため、確認が必要です。

仮に、証拠金維持率が50%を下回るとロスカットの実施されるFX業者と取引していたとします。上記の例の1ドル:100円から3円50銭が下がって96円50銭になったとします。その場合は、ポジションに7万円の含み損が発生します(3.5円×2万通貨)。

すると、証拠金維持率は以下に変わります。

・証拠金維持率:(10万円-7万円)÷{(96円50銭×2万通貨)÷25倍}=38.8%

証拠金維持率が50%を下回ったため、ロスカットが実施されます。

2.追証

実は、ロスカットが実施する前に、「追証」を請求されるFX業者があります。特に、ロスカット基準が証拠金維持率の50%になっているFX業者の場合、証拠金維持率が100%を下回ると追証が発動されます。追証というのは、証拠金維持率内に戻すため、証拠金の追加入金を請求されることです。指定期限内に入金されない、または入金できないとロスカットが実施されます。

3.ロスカット追証

為替価格が96円50銭ではなく、94円まで暴落したとします。この場合、含み損が12万円になり(6円×2万通貨)、有効証拠金の10万円では足りず、2万円のマイナスが出ます。つまり、2万円がFX業者に対する借金になるということです。この借金の支払いを請求されることを、「ロスカット追証」と言います。リーマンショックやスイスフランショックなどの時はロスカット追証が莫大な金額になり、破産者が多発しました。

FXの利益に対する確定申告

FXで得た利益は「雑所得」となり、所得税が課されます。ただし、利益が20万円以下の場合は課税されず、納税の必要がありません。なお、所得というのは、FXで得た全収入からFXの取引にかかった費用を差引いた金額のことです。

FXの所得に対する納税は、確定申告による「申告分離課税」で行います。申告分離課税とは、給与など他の所得から分離して税額を計算するものです。FXで得た所得の税率は金額に関わらず、一律20.315%です(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)。

なお、確定申告を行うと、以下の制度を利用することができます。

1.繰越控除

FXは投資である以上、利益もあれば損失もあります。そこで、お得な制度が「繰越控除」であり、損失額を最大3年間、繰越すことができます。

例えば、2017年に80万円の損失があった場合、2018年に30万円の利益があったとしても、差引き50万円の損失となるため、税金を納める必要がありません。また、損失残額の50万円は翌々年まで繰越せます。

2.損益通算

FXで70万円の利益が出たとしても、同じ年にバイナリーオプションで40万円の損失が出た場合、差引きすると30万円の利益しかありません。この場合は、30万円分に対してのみ税金を納めるだけで済みます。これを「損益通算」と言います。

なお、FXと損益通算のできる金融商品は「先物取引に係る雑所得等」であり、株式や投信などは「株式等に係る譲渡所得等」の扱いとなるため、損益通算ができません。

学生の利用

FX取引における口座開設条件は、一般的に20歳以上とされているため、20歳以上であれば学生でもFXができます。基本的に、FXは証拠金の範囲内でしか取引ができないため、収入のある学生であれば申込が可能です。なお、未成年でも親の同意を条件に口座を開設できるFX業者もあります。

まとめ

FXは投資であるため、為替相場次第で利益を得られる時があれば、損失の生じる時もあります。また、レバレッジによって損失額が思わぬ金額になることもあります。FXは、生活に影響を与えない余裕資金で行うことが大前提です。